『自分なりのスタンスで』


突然ですが、


新領域創成科学研究科 国際協力学専攻」


この肩書きから、いったいどんな方を想像されますか?


実は、これは『Global Manager』第30号の巻頭言をかざる
東京大学の吉田恒昭教授の肩書きなんです。


「新領域創成・・・」
正直、取材前からかなり威圧されていた近松です。


しかし、本当に圧倒されるのは肩書きではなく、そのご経歴。
あまりに様々な経歴をお持ちなので、紹介しようとするとかなりの長さに・・・!
吉田教授のホームページのプロフィールをよんでも把握しきれないほどです。


さて、巻頭言の肝となる部分は、『Global Manager』第30号に任せるとして、
ここでは、個人的に印象に残ったことを
私なりに解釈して書いてみます。


1.残業はアンフェアーである
これは、欧米人の目から見た日本人の働き方だそうです。
時間外、ましてや土日まで働くなんて、
「土俵の外での戦い」ではないかというのです。


2.グローバルに活躍しようとするほど、自分の文化に興味がわく
自分自身がブレないでいるために必要。
さらに、スタンスを確立することで、周りからの信頼も得やすい。
さすがに、様々な国の開発に携わってきた方らしい言葉です。


3.配慮が先か主張か先か?
よく言われていることではありますが、
アジア人は「相手のことを配慮しあいながら」理解する。
欧米人は、「お互いに主張しあいながら」相手を理解する。
どちらも一長一短です。
前者は、本音が見えにくかったり、話がわかりにくくなることもありますし、
後者は、相手の感情・都合を無視することもあります。


そして、この3番のお話がふと思い出されたのが
その数日後の別件のインタビュー取材のときでした。


別件の取材とは、『ワタシの奮闘記』にご登場いただく
ヴィルハー・ゴラーズさんへのインタビューです。


ニコンのウェブ上でも、ヴィルハーさんの作品がいくつか紹介されていますが、
伝統的な日本文化って、こんなにも美しいものだったのかと、
新鮮な視点を与えてくれる作品ばかりです。


さて、日本だってアジア。
ヴィルハーさんはどう感じているのでしょうか?


彼は、日本に長く暮らし、あちこちに旅しては、
新しい日本に出会っているようですが、
どうもいまだに、日本人の考えていることをつかみかねているようです。


「日本人は、表現をしない」
この言葉は、グサリと胸に突き刺さりました。
よく言われていることではありますが、
やはり、わかりにくいのでしょう・・・。


ここでいう「表現」とは、おそらく、
自分自身についてだけではなく、自分の主張を伝えることだと感じました。


というのも、学生時代、国際交流のサークルにいたのですが、
日本人のタテマエに苦しむ留学生もいれば、
先に相手の都合を考えて話をする日本人に驚く留学生もいました。


ある日、アメリカ人の友人が言いました。
「あなたはなぜ、私のことがそんなにわかるの?」


もちろん、私が彼女に特別な思いを抱いていた
わけではないです、念のため。


どうやら、説明してもいないのに理解されたのが
不思議で仕方がないようなのです。


そのときは変なこというな〜と流してしまったのですが、
「主張しなくては伝わらない」という前提の話だったのかな
と、今となっては思います。


逆のこともあります。
以前、アメリカに留学している友達をたずねていったとき、
アメリカ人の友人が、
「何時にホテルに戻るの?」と聞きました。
私は相手の都合に合わせようと、
「あなたは、このあと何かあるの?」
と聞きなおしました。


(一瞬沈黙・・・)(心の声:あ、質問に質問は反則か・・・)


すると、留学していた日本人の友達が
「自分の都合をストレートに伝えるほうがスムーズだよ」
とアドバイスをしてくれました。


これは、彼女がアメリカ生活でつかんだコツだったのでしょう。


さて、ヴィルハーさんの話にもどりますが、
取材にはもちろんカメラマンさんも来ていました。
分野違いとはいえ、その道のプロ。
彼の一言コメントに思わず、納得してしまいました。


「明らかに外側からの目で見た日本を切り取っていて、
確実に日本人が撮ったのではないなってわかる。
日本にいながら自分を貫いている人なんでしょうね」


本誌のインタビューの内容を読めば、
このコメントがもっと深く理解できると思います。
乞うご期待!


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