「仕事の思想」を読んで


こんにちは。『GLOBAL MANAGER』編集部の岩楯です。

最近は、だいぶ朝晩冷え込むようになってきました。皆様、体調を崩さないようお気をつけください。そう言っておきながら、自分は、今日お腹が痛いです・・・なぜだろう・・・

「今日は部屋が寒い・・・」

さてさて、『GLOBAL MANAGER』編集部は今、来年2月発行の第28号の取材で忙しくしております。いよいよ一番バタバタとする「取材」→「原稿チェック」の時期がやってきたと言う感じです。

そんなわけで自分も、先週の月曜日に取材に行ってまいりました。

今回取材にお伺いさせていただいたのは、シンクタンク・ソフィアバンク 代表 田坂広志様です。
「ソフィアバンク Websiteへ」

取材に先立ち田坂様の著書「仕事の思想」を拝読させていただきました。
その中で一番印象に残っているエピソードが『厳しい顧客こそが、優しい顧客である』でした。

それはなぜかと言うと、自分が以前の会社(中堅印刷会社)で営業をやっていた頃に出会ったお客さんを思い出したからです。

そのお客さんと出会ったのは、「右も左もわからない」社会人一年目の夏でした。そのお客さんは日本はおろか、世界でも名の通った大手電器メーカーの宣伝部門の方でした。
それまでその会社さんとは年に一度、ある商品のカタログを増刷する仕事が発生するか、しないかだけの非常に「細〜い」関係でしかありませんでした。実際、仕事が発生してもちょっとした文字を直して印刷工場に流すだけの簡単な業務だったので、「これなら一人でできるだろう」という上司の判断で新入社員の自分が担当になりました。

お盆過ぎのまだ暑い日だったと思うのですが、そのカタログの色校正(印刷する前に色の出かたをチェックする試し刷り)を持って、そのお客さんのもとを訪ねました。色校正自体は全く問題がなく、すぐに話が終わってしまいました。そこで、どうやっていいのかわからないなりに頑張って「営業トーク」(のまねごと)を始めると、お客さんの方から「今、別の仕事があるんだけどやってみないか?」とお声がけをいただきました。

その仕事を運良く受注・納品したのを皮切りに、徐々にお仕事をいただけるようになって行きました。自分が退社する直前には、かなり信頼して仕事を任せていただいていたと自負しています。(たぶん。。。) しかし、その過程で何度も何度も何度も何度も怒られました。「商品を理解していない」とか「コピーが全然ダメだ」とか「すぐに作り直せ」とかとか。枚挙に遑がありません。とほほ。

ある日も、新しい販促物の案を出したのですが、提出したものがあまりにもお客さんの要求したものと違っていた為、憤慨し数十分間にわたって怒られました。正直怒られている最中は、「あーもうここに営業に来るのはもう止めよう」と思うほどでした。

数十分後、怒り終えたお客さんの表情がふと優しくなり、こう言って下さったのです。

「僕が怒るのは君のことが憎くてしているんじゃない。君に期待しているからだ」

よく考えてみればそうです。そのお客さんの会社は、世界でも超有名な電器メーカー。そこにはたくさんの印刷会社が出入りしています。もちろん各社の営業は、新しい仕事を見つけようと必死ですし、まだその会社さんに入り込めてない印刷会社の営業はあの手この手でアプローチをしています。つまり、そのお客さんが自分以外の印刷会社を選ぼうと思えば、いくらでも選べるのです。そこをあえて貴重な時間を割いて、苦言を呈してくださったのです。

その日は、長時間にわたって怒られたのにもかかわらず、とっても気分が良かったことを覚えています。それからも、よく怒られましたが「期待されているからだ!」と勝手に解釈し、お客さんの期待以上のものを作ってやろうと熱く仕事をしました。

社会人として駆け出しの頃に、「怒ってくれる」お客さんに出会えたことは運が良かったなぁと今でも思います。その方がこのブログを見ていらっしゃるとは思いませんが、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。「ありがとうございました」

そんな感じで、田坂様の「仕事の思想」は自分の(短いですが)「営業時代の経験」と重ね合わせて読むことができました。共感できる部分の多い著書だと思いますので、皆様もぜひ読んでみてください。おすすめです。

また、取材の方でも、貴重なお話をたくさんお聞きすることができました。次号でご紹介いたしますので、もうしばらく期待を胸にお待ちいただけますと幸いです。

今日はそんな感じで。また来週お会いしまーす。