キャメル・ヤマモト氏の最新刊を読みました


『GLOBAL MANAGER』編集人のSです。

先週、「暖冬とはいえ、大寒も過ぎるとめっきり寒くなるものですね。」と書いたら、なぜかまた暖かくなって、今年の天気もまた想定外です。

初回のブログで「船川淳志さんが編集部に打合せにいらっしゃる」と書きましたが、昨年末にご来訪されました。その際、『GLOBAL MANAGER』最新号(第28号)の船川氏との対談相手である山本成一氏についてお話があり、「内発的国際化」に話が及んだのですが、それはSにとって初耳の言葉でありました。その後で、同席していた編集長Yから、そっと山本氏の最新刊「グローバル人材マネジメント論」を手渡されたので、読ませていただきました。今回はそのご報告を。

「グローバル人材マネジメント論」は日本企業の国際化と人材活用に関するテキストと呼んでも良いのではないかと思います。山本氏の過去四半世紀にわたる人材・組織コンサルタントとしての、日本・米国・アジアなどにおける経験がわかりやすくまとめられています。生き残りをかけた日本企業の海外進出、その成否を分ける「人材の調達・育成」とはどのようにしたら良いのでしょうか。先ずは目次を見てみましょう。

第1章 グローバル人材フロー(人材流)マネジメント 

  1. 国際化のための適材適所システム
  2. 異動とネットワーキングの事例
  3. グローバル採用とローカル採用

第2章 グローバル評価制度と報酬制度 

  1. 評価制度
  2. 報酬制度

第3章 グローバル組織マネジメント

  1. グローバル企業の組織構造に関する基本事項
  2. グローバル統合への動き

第4章 強み・価値のデザイン

  1. 総論(強み・価値とは何か?なぜ必要か?)
  2. 製品・サービスに現れた強み・価値
  3. 金と育ちが現す強み・価値(財務的アプローチ)

第5章 強味・価値を浸透・進化させるプロセス

  1. 第一段階:伝道
  2. 第二段階:適応
  3. 第三段階:連結


第1章から第3章までは人材活用のためのテキストとして基本をしっかりと押さえてくれています。海外進出に賭けている企業にとって、現在進行形で参考になるまとめ方をしているように思います。特に第3章「グローバル組織マネジメント」で展開される中国に対する分析は自身の経験に裏打ちされた鋭い指摘となっています。

そして、著者の筆に力が入ってくるのが第4章と第5章です。日本の企業の持つ強み・価値とは何か、そしてそれをどのように海外に展開していけばよいのか。アメリカ企業のアプローチ、ヨーロッパ企業のアプローチを交えながら、日本独自の方法を見出すべきだとしています。企業の強み・価値を再確認し言葉にするところから真の国際化は始まるとし、日本企業がホームグランドたる日本において作り上げた強みや価値観という、内なるものを起点にする国際化を「内発的国際化」と呼んでいるのです。

『内発的国際化が「伝道」「適応」を経て、「連結」段階にまで至れば、日本企業を通じて、日本の強み・価値が世界中の人材開発に貢献するだろう。同時に、世界中の人材が日本の強み・価値を進化させていくだろう。』と結んでいます。

ところで、山本氏のペンネームは「キャメル・ヤマモト」といって、かなりユニークですよね。氏を紹介するワトソンワイアットのWebによると、「キャメルの名前の由来は、いろいろあるのですが、お目にかかる機会があればそのとき詳しくお話させていただきます。」とあり、「これって何だろうね?」と編集長Yに聞いたら、「お顔がラクダに似ているからでしょう」というのだが、もっと深遠な何かがあるように思えてならないSでした。