目指すは、「どこでも通用する人」


前回に続いて、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)で
ご活躍されている岸守 一さんの取材話をさせてください。


国際機関で働いているというと、少し特別なイメージがあるのですが、
取材するうちに、人と人のコミュニケーションの基本は同じなのかな、と感じました。
とはいえ、個人の背景の違いが大きい国際機関では、
普通以上に注意を払ったり、自分なりに意識的にやったほうがいいことがたくさんあり、
多くの人が仕事で生かせるようなヒントが盛りだくさんでした。


また、最近はM&Aも珍しいことではなくなり、
いくら日本企業同士であっても、二つの企業が統合するときは、
違う企業文化を統合することにほかなりません。
もちろん、ある日突然外資系企業になったり、
上司が外国人で会議はすべて英語という環境になる
という可能性だってあるわけです。


実は、先日以前働いていた会社の友達と会ったのですが、
他社との統合により、組織内はバタバタの様子でした。
それぞれの文化をもった組織同士での統合の大変さを、
とても身近に感じたところです。


あらゆる環境にあっても、自分の場所を創り出して、
仲間の協力を得て仕事をしていく力が必要なのだなぁ
と考えさせられました。


さて、前置きが長くなりましたが、
岸守さんは、大学卒業後に外務省に入省され、
その後、UNHCRに移られました。
ある意味、日本の代表としての立場から、
多国籍での視点、貢献をするという反対側の世界です。


多国籍な環境の中、氏が意識したのは、
自分の中の日本人としての気質だったそうです。


詳しくは、Gm第31号でご紹介しますが、
さまざまな試行錯誤の結果、話がきちんと伝わるコツなどを
ご自分で編み出していかれました。
人に動いてもらう際にも、日本人によくある人情での貸し借りは、
なかなか通用しない世界のようです。


たしかに、日本人がよく使う「よろしくお願いします」を英語にしようとすると、
適切な表現が思い当たりません。
「○○についてご対応お願いします」といった表現なら考え付きますが、
具体的なことがないままに、「よろしく」といわれても、
海外の人から見たら「何をよろしくなの?」という感じなのだろうなぁと思います。


普段から、きちんと腑に落ちるまで考え尽くしているという印象があり、
お話が驚くほどまとまっていて、かつ濃縮されていました。
おかげで、取材時間内にとても多くのヒントをいただくことができましたが、
残念ながら、誌面ではそのすべてをお伝えできないので、
今回、こうしてブログでお伝えできたらなぁと思っています。


ということで、次回も引き続き、岸守さんの貴重なお話を
シェアさせてください!

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